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編集後記
村山 雄一
pp.820
発行日 2019年7月10日
Published Date 2019/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436204030
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令和元年となり,2カ月が経過しました.そろそろ新人脳神経外科医のリクルートの季節になり,医局説明会の準備が始まります.東京では,昨年初めて日本専門医機構によるシーリングによる制限がかかり,入局希望者が定員を超えた施設は他の県のプログラムに加入をお願いする事態となり,日本脳神経外科学会執行部の先生方には大変なご苦労をおかけしました.今年はさらなる枠の制限があるとのことで,日本の医局制度が医師不足のエリアをカバーするsafety netとしての役割を果たしてきたプラスの面も,行政は考慮してほしいと切に願います.
さて,今月号では,現在の脳神経外科が置かれている社会的な課題に関する優れた論文が多数掲載されています.亀田雅博先生の論文は,医療経済の視点から脳神経外科診療をみることの重要性を,水頭症に対するランダム化試験の例にとって明快に解説されています.齊藤延人先生からは,アカデミアにおける臨床研究支援体制の整備についてわかりやすく概説していただきました.また,われわれ臨床医にとって取っつきにくい量子科学技術に関する総論を荒牧修平先生に解説していただきました.そして扉では,髙木康志先生から,地域における課題の違い,大規模ランダム化臨床研究至上主義といった,グローバルスタンダード優先の流れで見落とされがちな医療の原点ともいうべき目の前の課題を1つひとつ解決していくことの大切さを提示していただきました.
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