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特別寄稿 脳神経外科コントロバーシー2019
(8)NF2聴神経腫瘍の治療選択—外科治療の立場から
(8)Treatment Strategy of Vestibular Schwannomas in Patients with Neurofibromatosis Type 2:A Neurosurgeon's Perspective
松島 健
1
,
河野 道宏
1
Ken MATSUSHIMA
1
,
Michihiro KOHNO
1
1東京医科大学脳神経外科
1Department of Neurosurgery, Tokyo Medical University
キーワード:
acoustic neuroma
,
gamma knife radiosurgery
,
microsurgery
,
neurofibromatosis type 2
,
vestibular schwannoma
Keyword:
acoustic neuroma
,
gamma knife radiosurgery
,
microsurgery
,
neurofibromatosis type 2
,
vestibular schwannoma
pp.161-167
発行日 2019年2月10日
Published Date 2019/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436203914
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Ⅰ.はじめに
神経線維腫症2型(neurofibromatosis type 2:NF2)は,両側聴神経腫瘍を主徴とする常染色体優性遺伝疾患であり,発生率は25,000〜40,000人に1人と報告されている2,3,7,8,30).約半数は遺伝性,他は体発生時の突然変異であり,人種差は認められない7,30).責任遺伝子は第22番染色体長腕(22q12)に存在するNF2遺伝子であり,この遺伝子がつくるmerlinは腫瘍抑制因子として働くと考えられているが2,3,7,8,30),このmerlinの機能異常により,NF2患者の多くは30歳までに両側性聴神経腫瘍を発症し,その他に三叉神経鞘腫などの頭蓋内神経鞘腫,脊髄神経鞘腫,髄膜腫や脊髄上衣腫を伴うことが多い7).
多くの患者が若年で両側性に聴神経腫瘍を発症し,齋藤ら30)の全国調査においてもQOL低下の最たる原因は聴力障害(約90%)と報告されている.その他の多発する腫瘍に対して手術加療が必要となることも多いが,殊に聴神経腫瘍に対しては,腫瘍制御と聴力の長期温存に重点をおいた,孤発性の聴神経腫瘍とは異なる慎重な治療方針の選択が要求される.本稿では筆者らのこれまでの治療経験を報告し,文献的考察を交えつつ,外科治療の立場から現状での筆者らの治療方針を紹介したい.なお,聴神経腫瘍の手術手技やモニタリング法に関しては,他書を参照されたい11-15).
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