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特別寄稿 脳神経外科コントロバーシー2019
(6)下垂体腫瘍の手術選択—内視鏡手術vs.顕微鏡手術
(6)Surgical Treatment for Pituitary Tumors:Endoscopic Transsphenoidal vs. Microscopic Transsphenoidal Surgery
山田 正三
1
Shozo YAMADA
1
1東京脳神経センター病院間脳下垂体センター
1Hypothalamic & Pituitary Center, Tokyo Neurological Center Hospital
キーワード:
endoscopic
,
microscopic
,
pituitary tumor
,
surgical outcome
,
transsphenoidal surgery
Keyword:
endoscopic
,
microscopic
,
pituitary tumor
,
surgical outcome
,
transsphenoidal surgery
pp.139-145
発行日 2019年2月10日
Published Date 2019/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436203911
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Ⅰ.手術法の変遷
下垂体およびその近傍疾患に対する外科治療は,開頭術(transcranial surgery:TC)と経蝶形骨洞手術(transsphenoidal surgery:TSS)に大別される.どちらの方法も,20世紀初頭にはその基本的な手術手技が確立されたが,手術成績・合併症率ともにTCが優れ,1930年以降はTCが主流となった.この流れを変えたのが,パリ大学のGuiotであり,術中X線透視を導入して術中オリエンテーションが良好となることで,より安全にTSSによる腫瘍の切除が可能となった.さらにモントリオール大学のHardyがこれに手術用顕微鏡を導入して,手術野が深くて狭いという問題点を克服し,同時に正常下垂体を温存して腫瘍のみを選択的に切除することも可能となり,1960年代後半には顕微鏡下経蝶形骨洞手術(microscopic TSS:mTSS)は下垂体腫瘍の標準的外科治療法として一気に世界に広まり,今日に至っている4).
これに対して,下垂体腫瘍に対する内視鏡の歴史は,1960年代にGuiotらが手術終了時に鞍内の観察に内視鏡を用いたのが最初であり15),その後,南カリフォルニア大学のApuzzoらは内視鏡を顕微鏡下の経鼻手術の際のassistとして使用し始めた3).そしてピッツバーク大学のJhoは,同大学の耳鼻咽喉科医であるCarrauらの協力を得て,内視鏡を主体とした経鼻的外科治療を考案し,今日では内視鏡下経蝶形骨洞手術(endoscopic endonasal TSS:eTSS)が世界的に普及している5,16).
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