Japanese
English
総説
下垂体腫瘍の診断と治療
Diagnosis and Therapy for Pituitary Tumors
置村 康彦
1
,
千原 和夫
2
Yasuhiko OKIMURA
1
,
Kazuo CHIHARA
2
1神戸大学医学部保健学科医療基礎学
2神戸大学大学院医学系研究科応用分子医学講座内分泌代謝・神経・血液腫瘍内科学
1Faculty of Health Science,Kobe University
2Division of Endocrinology/Metabolism,Neurology and Hematology/Oncology,Department of Clinical Molecular Medicine,Kobe University Graduate School of Medicine
キーワード:
pituitary tumor
,
guideline
,
transsphenoidal surgery
,
medical treatment
,
stereotactic radiosurgery
Keyword:
pituitary tumor
,
guideline
,
transsphenoidal surgery
,
medical treatment
,
stereotactic radiosurgery
pp.1083-1092
発行日 2006年11月1日
Published Date 2006/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436100300
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Ⅰ.は じ め に
下垂体腫瘍は脳腫瘍の約15%を占める比較的よくみられる腫瘍である.画像診断の発展とともに,無症状の下垂体腫瘍が偶然みつかることも多くなり,実際の罹患率ははるかに高いものでないかと想像される.下垂体腫瘍は,腫瘍容積増大による視野・視力障害,脳神経障害,頭痛などの症状と,下垂体ホルモン,およびそれが制御する下位のホルモンの過剰分泌による症状を引き起す.下垂体腫瘍の診断も,腫瘍増大による所見と,下垂体ホルモンの過剰分泌所見を確認することでなされる.機能性下垂体腫瘍の場合,下垂体ホルモンが不適切に分泌されている所見を捉えることが重要で,このために内分泌検査が必要なのである.内分泌検査成績の評価のもととなる考えには大きな変化はないが,最近の疫学成績の結果をもとに,間脳下垂体機能障害調査研究班により下垂体腫瘍の診断の手引が作成(改訂)された.治療においても,手術,薬物,放射線の3本柱の治療の位置づけに変わりはないが,薬物療法では新規治療薬の導入が始まっている.本稿では,最近の診断基準,薬物療法に重点をおいて概説する.
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