Japanese
English
総説
脳動脈瘤クリップの歴史
History of Aneurysm Clips
田中 雄一郎
1
Yuichiro TANAKA
1
1聖マリアンナ医科大学脳神経外科
1Department of Neurosurgery, St. Marianna University School of Medicine
キーワード:
cerebral aneurysm
,
Heifetz clip
,
Mayfield clip
,
Sugita clip
,
Yasargil clip
Keyword:
cerebral aneurysm
,
Heifetz clip
,
Mayfield clip
,
Sugita clip
,
Yasargil clip
pp.853-864
発行日 2018年10月10日
Published Date 2018/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436203828
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Ⅰ.はじめに
今年(2018年)は,世界初の脳動脈瘤頚部クリッピング術が報告されて80年になる.クリップは,求められる性能を満たすために80年の歳月をかけて現在の姿に進化した10,12,20,24,25).その性能とは,①小型で豊富な形状のバリエーション,②腐食しない材質8),③良好な生体適合性,④MRI磁場下での安全性25),⑤バネの耐久性,⑥十分なブレード開き幅と閉鎖圧33),⑦シザリングやスリップアウトが起きない2,22),⑧容易にはずせる,⑨把持鉗子に良好にフィット,⑩クリップを把持した際の鉗子先端がコンパクト,⑪品質の維持と整備されたトレーサビリティー,と実に多様である.これまでのクリップ開発の流れはさまざまな「失敗」や「挫折」の蓄積でもある.その歴史を知ることは,現行クリップの理解をより深めることになる.ひいては,より安全で確実なクリッピング技法の習得や,クリップ改良のヒントを得る手がかりになる.頭部単純X線写真のクリップを見てブランド名とその世代を識別できれば,MRIを施行してもよいのか,再手術の際にクリップを外す特別な用具が必要かを速やかに判断できる(Fig.1).
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