扉
センスの育成を目指して
前原 健寿
1
1東京医科歯科大学脳神経外科
pp.679-680
発行日 2015年8月10日
Published Date 2015/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436203101
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1993年にプロ化された日本のサッカーは,5年後の1998年にフランスワールドカップに初出場を果たし,その後5大会連続でワールドカップ出場を続けている.さらに頂点を目指した挑戦を続けているが,2014年ブラジルワールドカップでは2敗1分けの予選リーグ敗退となり,さらに今年のアジアカップでもベスト8敗退の憂き目にあった.敗戦のたびに議論されることは,世界に通用する強いチームになるためには,個人の力を国際レベルに向上させなければならないということである.
チーム力をアップさせるためには個の力の向上が必要だという議論は,実は手術という技術を治療手段としている脳神経外科医にも当てはまるのではないかと思う.もちろん個人の技量向上は一朝一夕に図れるものではなく,生涯にわたる数々の経験をもとに積み上げられていくものである.しかし,特に若手の脳神経外科医は,自分の技量を速やかにアップさせる方法を模索しながら日夜手術に取り組んでいると言っても過言ではないだろう.また「自分で考えろ」という時代とは異なり,優秀な脳神経外科医を育成するために「どう考えるのか」を伝えることは指導医に要求される課題である.
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