扉
目は口ほどに物を言う
隈部 俊宏
1
1北里大学医学部脳神経外科
pp.95-96
発行日 2015年2月10日
Published Date 2015/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436202961
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頭を丸めてまるで僧侶のような様相であるし,以前から「鬼軍曹」と評されて来た私であるが,子供はとことん好きである.小児悪性脳腫瘍は私の中で大きなテーマであり,手術はもちろん,末梢の血管確保・中心静脈ラインの確保/維持・さまざまな検査/照射時の鎮静まですべて行ってきた.そんなことができたのは,臨床仕事に集中させてくださった吉本高志教授・冨永悌二教授のおかげである.また一緒に働かせていただいた先輩・同僚・後輩達のおかげである.
赤ちゃんと相対すると,必ずわれわれの目の奥をのぞき込むようにしっかりと目線を合わせる.われわれの考えていることは,彼らはおそらく一瞬にして感じ取っているはずだ.それを表現する方法は少なく,泣いている,笑っている,という程度にしかわれわれには理解できない.しかし,子供が何にもわかっていないというのはまったくの嘘だ.さまざまな処置がどう行われるか,きちんとわかっているし,どこで痛みが加えられるのか,理解している.それを説明すると,しっかりと我慢するか,その瞬間だけ,泣く.どんなに苦しいことを,何回行っていても,子供達は目線を外さない.目の奥をのぞき込む.
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