特集 手をみせて
手の診かた―手は口ほどにものを言い
伴 信太郎
1
1名古屋大学医学部附属病院総合診療部
キーワード:
手の診察
,
視診
,
触診
,
手指
,
手掌
,
手背
Keyword:
手の診察
,
視診
,
触診
,
手指
,
手掌
,
手背
pp.458-461
発行日 2008年6月15日
Published Date 2008/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414101431
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診断学において医療面接と身体診察で約7割の診断に迫れるということは,かなり古くからのエビデンスがある.身体診察には,医療面接ほどの情報提供力はないというのがこれまでのエビデンスであるが,これは全体を押し並べた場合の話であって,医療面接が威力を発揮する病態もあれば(精神科医はほとんど医療面接のみで精神疾患を診断している),身体診察が最も威力を発揮する病態もある(皮膚科医は視診でほとんどの皮膚疾患を診断している).また,医療面接と身体診察では,十分に診断できず,検査(血液,尿,便,諸種画像)に頼らざるを得ない病態もある(内分泌・代謝疾患,腎疾患,肝疾患,血液疾患など).とくに,画像診断法の進歩は著しく,すぐにこれらの検査に進みたくなるのももっともである.しかしちょっと待ってほしい.身体診察法の肩身は最近ますます狭くなってきているようにも思われるかもしれないが,そんなことはない.身体診察がキラッと光る機会はむしろ増えているといっても過言ではない.
本稿では,「手の診察法」について述べようとするのであるが,それに先立って,まず身体診察法の意義について再確認しておきたい1).
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