扉
脳死
米増 祐吉
1
1旭川医科大学脳神経外科
pp.899-900
発行日 1989年10月10日
Published Date 1989/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436202891
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脳死についての日本における社会的関心は今やほとんど臓器移植と切り離せない状態であるが,脳神経外科医としての関心はどうなっているであろうか.又世間では脳神経外科医がどのように考えているのか理解されているであろうか.
厚生省脳死研究班の判定基準の発表以来,臓器移植を目指して大学病院等の倫理委員会などで,竹内基準に更に条件を加えたり,臓器移植のsimulation大会が行われたり,脳死・脳蘇生研究会という,脳死が蘇生でもするかのような誤解を招きかねない名称の会ができたり,混乱の度を深めているようにみえる.脳死状態の心臓活動を長期間維持したり,ホルモン分泌活動の説明,手足が動いたという報告などは報告者の意図とは異なると思われるが,少くとも一般の人からは,あるいはマスコミから脳死が種々異論のある状態であるという印象を深める結果になっていることは否定できないであろう.
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