Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
I.はじめに
正常下垂体前葉において,各種のホルモン分泌細胞以外に濾胞星状細胞(folliculo-stellate cell,以下FSCと略す)の存在が知られている.1953年および1955年にRinehartら16,17)がラットの下垂体の電顕的観察において,他の内分泌細胞と異なり分泌顆粒を持たず突起状の細胞質を示す星状(stellate)の細胞を少数認め記載したのに始まり,その後ヒト1)を始め種々の動物12,18,25)でこの細胞の存在が電顕的に確認された.また,この細胞が前葉内で,ときにコロイドを含む濾胞(follicle)を形成している3,12)ことより濾胞星状細胞という呼び名が提唱され21,22)普及した.FSCの下垂体における機能に関しては初期より種々の説がいわれているが,いまだに一定の結論は得られていない23).1980年Cocchiaら2),Naka—jimaら15)は,それぞれラットの下垂体でFSCが免疫組織化学的に抗S−100蛋白(S−100)抗体にて標識されることを見いだし,以後,抗S−100抗体を利用して光顕レベルでもFSCの識別が可能となった.
一方,下垂体腺腫におけるFSCの存在に関しては古くは電顕的に1,5,24),最近では免疫組織化学的に8,11,13,14,20)研究がなされ,腺腫の中にはかなりのFSCを含むもののあることがわかってきた.しかし,その臨床的意義に関する検討は少ない.
Nine normal human adenohypophyses and 155 cases of pituitary adenoma of various endocrinological types were studied for existence of folliculo-stellate cells (FSCs) by an immunohistochemical method using the antibody for S-100 (S-100 protein). In all normal mate-rials, S-100 positive FSCs were distributed throughout the glands, constituting 0.9 - 4.0% of the adenohy-pophysial cells. FSCs were morphologically characteris-tic showing a few slender cytoplasmic processes which extended among the other endocrine cells.
Copyright © 1988, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.