今月の主題 内分泌疾患診断の進歩
診断のすすめ方
下垂体前葉
中川 光二
1
1北大第2内科
pp.482-486
発行日 1977年4月10日
Published Date 1977/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402207144
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はじめに
下垂体前葉は,後葉を含めても0.5〜0.79の小さな臓器であるが,ここから少なくとも7種類のホルモンが分泌されているために,その疾患ではしばしばホルモン分泌機能の異常による全身症状,すなわち下垂体前葉機能障害が前面に現れる.
下垂体前葉の疾患は,病理形態学的には,欠損,萎縮,変性,壊死,炎症,過形成,腫瘍などである(このうち壊死と腫瘍が大半を占める)が前5者は主として機能低下の病因となるものであり,過形成や1ないし数種のホルモンを分泌する(機能性)腫瘍は,機能亢進をきたす.一方,機能性と非機能性とを問わず,腫瘍は,下垂体の他の部分に圧迫などによる萎縮,変性,壊死などを招来して機能の低下を起こすことが多い.このような発生機転のために,機能亢進は単一のホルモン系に起こりやすく,下垂体原発の機能低下は,非特異的に複数のホルモン系に起こりやすい.
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