扉
Consecratio Medici
大本 堯史
1
1香川医科大学脳神経外科
pp.713
発行日 1986年5月10日
Published Date 1986/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436202222
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昨今の学会数の増加,演題数の増加には目を見張るものがあり,各会場の間をいそいそと足早に行き来する若い脳外科医の姿は,平素から一瞬の光陰をも惜しんで仕事に励み,努力している様子を垣間見るようで,誠に喜ばしい光景である.これは科学の進歩と情報化が一段と加速度を増していることを象徴する一側面でもある.ごく身近に接しているcomputerの領域でも,第5世代computerやimage computerの開発が進みつつあり,前者を左脳,後者を右脳として,自発的に思考し,高度の判断も可能な人工頭脳の開発までなされようとしている.一方では遺伝子の塩基配列を音符に置きかえ,曲を演奏するゆとりの時代でもある.
遺伝子治療は,現在ではどうしようもないirreversibleな脱落症状をreversibleなものに回復させるような夢の手段ともなり得る可能性を秘めており,その進歩が待ち焦がれているが,発癌遺伝子よりもmonoamine合成遺伝子の方がピアノで聴くと快い,などという時代もそう遠くはないのである.
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