Japanese
English
解剖を中心とした脳神経手術手技
斜台脊索腫に対する経蝶形骨洞,経口到達法併用による手術
Combined Transsphenoidal and Transoral Approach for The Clivus Chordoma
小林 茂昭
1
,
竹前 紀樹
1
,
杉田 虔一郎
1
Shigeaki KOBAYASHI
1
,
Toshiki TAKEMAE
1
,
Kenichiro SUGITA
1
1信州大学脳神経外科
1Department of Neurosurgery, Shinshu University School of Medicine
キーワード:
Clivus chordoma
,
Transsphenoidal approach
,
Transoral approach
Keyword:
Clivus chordoma
,
Transsphenoidal approach
,
Transoral approach
pp.1339-1346
発行日 1984年11月10日
Published Date 1984/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436201933
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I.はじめに
経口到達法は,従来おもに耳鼻科医によって耳鼻科領域疾患に対して行われてきたが,Hardy以来普及した経蝶形骨洞手術によって脳外科医の経鼻・経口到達法に対する関心が高まったといえる.経口到達手術の対象となる脳外科的疾患としては,上咽頭腫瘍,下後方に進展した下垂体腫瘍,前下方に進展した斜台脊索種,環軸椎脱臼,脳底動脈本幹動脈瘤などがある,斜台脊索腫に対して側頭下到達法あるいは後頭窩開頭による到達法が従来おもに行われてきた.しかしながらこのような経頭蓋内到達法は脳に対する侵襲が大きいことの他に正中線上への到達が困難であり,またしばしば髄液漏あるいは頭蓋内感染の危険を伴う.斜台の正中部に広がった脊索腫に対して前方よりアプローチする場合には,経蝶形骨洞到達法あるいは経口到達法単独では充分摘出が不可能であるので両者を併用することが有用である.
本論文では,その場合に必要な局所解剖を中心とした到達法を述べる,経蝶形骨洞到達法と経口到達法を1回の手術で行うこともできるが,実際には2週間程度おいて2回の手術で行っている.経蝶形骨洞手術法によって到遠できる範囲は蝶形骨洞から最大斜台の上1/3までである.経蝶形骨洞到達法の術式に体しては,従来行われている方法と特に変わりないので詳細は省略し経口到達法について述べる1,2,4).
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