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I.はじめに
悪性グリオーマに対する化学療法は,血脳関門の問題など,他臓器における悪性腫瘍の治療に比して種々の困難な面がある.しかしニトロソウレア系の制癌剤の出現以来,新たな展開を迎え,現在ではこれを中心に多剤併用治療の効果についての研究が活発に行われている.一方,悪性グリオーマに対し,積極的な完全摘出を目指す手術が行われるようになり,手術自体による延命効果も増してきた.それに伴い,原発巣の再発をみないまま髄腔内播種を主とした頭蓋内外の他部への転移を生じるといった現象もみられるようになり,脳腫瘍の治療にあたり,髄液腔内播種の予防と治療が重要な問題となりつつある11).とりわけ髄芽腫については,髄液腔内播種が予後を左右する最も重要な因子である.以上のことから,手術後の放射線治療,化学療法に関してなお一層の研究が必要とされる,化学療法についてはすでにいくつかの臨床治験がなされ,成果ならびに問題点の報告が散見される1,2,4-6,10,12,14,15,19).また,実験的研究としては生塩らに代表される髄膜癌腫症に対する薬効学的研究がなされてきた16,17,20-22,24).
筆者らは,ラットでグリオーマの髄液腔内幡種性転移のモデルを作成し,これを用いて単剤または多剤併用による化学療法の効果を検討した.
Chemotherapy was applied for experimental sub-arachnoid dissemination model of brain tumor whichwas established in male Wister-SPF (SLC) ratsinoculated intracisternally with 2×105 C6 rat gliomacells. Nontreated animals died about 24 days afterinoculation. Autopsy findings of the animals showedlocalized or multifocal invasion of the tumor on lepto-meninges in cisterna magna, and partially infiltrationinto the parenchyma of the cerebellum and medullaoblongata. Three days after inoculation, the tumordeposition and proliferation already occurred.
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