Japanese
English
総説
脊髄のCT
Computed Tomography of Spine and Spinal Cord
前原 忠行
1
Tadayuki MAEHARA
1
1東京大学放射線科
1Department of Radiology, Faculty of Medicine, University of Tokyo
キーワード:
Computed tomography
,
Computed myelography
,
Spine
,
Spinal cord
,
Metrizamide
Keyword:
Computed tomography
,
Computed myelography
,
Spine
,
Spinal cord
,
Metrizamide
pp.993-1006
発行日 1981年8月10日
Published Date 1981/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436201378
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I.はじめに
全身用CT装置の普及に伴い脊髄疾患に対する応用が試みられるようになってきたが,その診断価値は頭蓋内疾患におけるCTのそれと比べると極めて低く,今日のところ一補助診断法の域を出ていない.従来のミエログラフィーではくも膜下腔の偏位変形などの間接的所見から腫瘤性病変の存在を推測せざるを得なかったが,CTでは病巣自体を吸収値の異常として描出しうることもあり,特に周囲の骨組織との関係を含めてその拡がりを横断面として判断できる点ですぐれている.しかしながら縦方向に長い構造物である脊髄を輪切りにする検査であるため,臨床的に疾患の脊髄レベルが限局されている場合以外は極めて非能率的で,少なくともスクリーニング検査としての評価は得られない.また,CT装置はめざましい改良進歩を示しているが,現時点では,ごく一部の高解像力CT装置(high resolusion CT)1,2)を除いた通常の装置では高吸収値骨組織に取り囲まれた脊椎管内の脊髄自体をくも膜下腔などと区別して明瞭に描出することは必ずしも容易ではない.
本稿では現在一般に使用されているCT装置による脊髄疾患の診断について,検査手技,正常解剖および代表的疾患のCT所見を中心に述べることにする.
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