扉
若い力を信ずる—国際神経外傷会議見聞記
中村 紀夫
1
1東京慈恵会医科大学脳神経外科
pp.833-834
発行日 1978年9月10日
Published Date 1978/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436200861
- 有料閲覧
- 文献概要
去る4月17日から3日間カイロで開催された神経外傷に関する国際カンファランスに参加するために,エジプトを訪れた日本人医師10名の一行は,カイロ空港に着いた途端に,われわれが日本人であることを思い知らされることになった.40歳以下の日本人の入国チェックは特別きびしいのである.紀元前5世紀の有名な史家ヘロドトスが,「エジプトはナイルの賜物」と記したその国エジプトは,歴史上の金字塔から想像される神秘とは,全く別の現実を造っていた.
言葉と文字がわからないのをいいことにして,タクシーが料金をちょろまかす.バザーと称する小売店が地図の値段をつり上げる.ホテルのボーイ…と言ってもいい年をしたアラブ衣裳の男…が,用もないのに何か飲まないかとか,石けんを持って来たとか,はては汚れてもいない靴を勝手に持ち出して磨いたとか言って,チップほしげに部屋に入り込む.
Copyright © 1978, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.