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新生児の後頭部正中線上に大きな腫瘤をみたとき,まず考えるのはEncephaloceleや,Encephalomeningoceleのたぐいであろう.ここに報告する症例は,そうではなくて巨大な血管腫であった.この血管腫は生後10日に紫色に変色した部分で現われ40日頃から比較的急速に増大するとともに,貧血,血小板減少,肝と脾の腫大などKasabach-Merritt症候群の第1期から第2期に進んできた.治療に対する諸家の見解は放射線とステロイド併用法が大勢をしめているが38,59,78),本例は次の3つの理由によって手術を行なった.(1)切除可能な部位であること,(2)血管撮影で多数の血管網があり,この乳児の循環血液量の相当な部分が巨大血管腫に奪われてHigh cardiac output syndrolne12,25)→心不全を来していると考えられたこと,(3)腫瘤血管に含まれる血小板数の方が末梢血の血小板数より多く,血管腫内に血小板の抑留と破壊(sequestration)が起っていると想定されたこと.手術報告例は現在までに12例があり,なかには大出血によって死亡したり6),術後に重篤な凝血障害を起した例もある11),そこで,慎重な前処置を行なって丹念な止血をし,全摘出に成功した.血小板数は術翌日より正常値に復し,さらに3カ月のFollow-upで正常な発育を示している.
An infant with a large occipital hemangioendothelioma with thrombocytopenia, anemia, and hypofibrinogenemia-Kasabach-Merritt syndrome-was reported. The case, a male neonate is unique, for this is the first report with this syndrome in whom the large hemangioma was noted at birth on the midocciput simulating the occipital encephalomeningocele.
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