Japanese
English
総説
天幕上腫瘍の椎骨動脈造影法による診断
Diagnosis of Supratentorial Tumors by Vertebral Angiography
高橋 睦正
1
Mutsumasa TAKAHASHI
1
1秋田大学放射線科
1Department of Radiology, Akita University School of Medicine
キーワード:
Posterior fossa tumors
,
Vertebral angiography
Keyword:
Posterior fossa tumors
,
Vertebral angiography
pp.193-203
発行日 1975年3月10日
Published Date 1975/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436200276
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
Ⅰ.はじめに
後頭蓋窩腫瘍の確定診断には陰性造影剤,または陽性造影剤を用いた脳室造影法が多く実施されてきた,しかし,最近になって椎骨動脈造影法が経皮カテーテル法によって比較的容易に実施され,診断能の高い造影フィルムが得られるようになり23,24,25,27,32,36,38)さらに,椎骨動脈造影法の読影技術が急速に進歩するにおよんで1,9,10,21,22,29),後頭蓋窩腫瘍の診断に対して椎骨動脈造影法が脳室造影法に代わって広く用いられてきつつあるのが現状である,椎骨動脈造影法では詳細な読影を行なえは,脳室造影で得られる脳室系に関する情報のみでなく,腫瘍の進展範囲,隣接脳組織,脳槽の状態などをもかなり正確に把えることが可能である3,32,34,37,40).
後頭蓋窩は解剖学的に後頭骨,側頭骨,天幕などの強固な骨組織,硬膜によって囲まれた小さい空間であるために,腫瘍による血管の偏位は発生しにくい状態にある.このために,後頭蓋窩腫瘍の血管造影所見は軽微なものが多く,明確な診断を下すことは困難なことが多いと考えられてきた.しかし,椎骨動脈造影における後頭蓋窩腫瘍の所見は,微細ではあるが,多くの血.管に同時に認められることが多いために,複数の血管に所見を観察することにし,て確定診断をうることはそれほど困難なことではない.このためには,後頭蓋窩内の血管を一定の順序に従って詳細に検討する必要がある.
Copyright © 1975, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.