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Ⅰ.緒言
化学発癌剤やウイルスによって発生した純系動物の腫瘍細胞には,腫瘍特異抗原が存在することが証明され,これを突破口として,ヒトの自然発生癌のいくつかについても,腫瘍特異抗原が確認されてきている1).また,それを裏づけるヒトの悪性腫瘍の自然治癒の報告5)もみられる.
脳腫瘍の場合,頭蓋外転移は非常にまれであり7,25),脳腫瘍の中でももっとも悪性なglioblastoma multiforme, medulloblastomaでさえも髄腔内に播種性転移をおこすだけである.また,最近は脳腫瘍の補助診断法として,髄液浮遊細胞の細胞培養が広く応用され,臨床的診断に貢献している15).また,脳腫瘍が転移しにくいことより,経験的に脳腫瘍患者の二次的水頭症に対して,転移という観点からみると,他の臓器の癌においては考えられない脳室心房短絡術,脳室腹腔短絡術などがなされている,このように,積極的に脳腫瘍細胞を全身に播種しても,他臓器への転移は極めてまれである13).脳腫瘍がなぜ頭蓋外に転移しないかの理由として,古くより,①中枢神経系にリンパ路を欠くこと.②blood-brain-bar-rierの存在.③脳血管の構築上の特徴.④正常脳組織,細胞の臓器特異性,⑤脳腫瘍細胞に対する腫瘍特異抗体の存在.などが考えられてきた,最近のヒト腫瘍に対する免疫学的知見,および上述した短絡術などの事実より,我々は脳腫瘍の腫瘍特異抗原の存在を推定した.
The presence of the auto-antibody in patients with brain tumors was investigated using the immunoadherence hemagglutination technique developed by Nishioka et al. The technique used is one of the most sensitive methods currently available for the titration of antigen and antibody. Brain tumor cell suspension was mixed and incubated at 37℃ with patient's serum and human erythrocytes (0 type, Rh+), using microplexiglass U type plate.
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