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I.緒言
悪性脳腫瘍の中でもっとも頻度が高く,かつもっとも悪性であるglioblastoma multiformeに対する治療法は現在,脳神経外科領域において重要な問題の一つである.現在の治療法では,術後生存率でみると,1年以内に80-90%が死亡し,5年以上生存する例はごくまれである,このため,いろいろの補助療法が考えられ,開発され,臨床上に使用されているが,満足な効果が得られているとはいえない.1965年来,佐野1,2),星野3)らによって開発されたBAR療法は,腫瘍の放射線感受性を増強する方法の一つとして注目されるべき補助療法である.われわれは当脳神経外科開設以来,悪性膠腫24例に対してBUdRの動脈内投与,あるいは髄腔内投与によるBAR療法をしてきた.BAR療法の効果については,1971年,佐野,永井4)らによって総括的な報告がなされているが,その組織像の変化については,佐野4),吉岡5)らによる光学顕微鏡レベルでの報告にかぎられている.今回,われわれはglioblastoma multiforme5例について,BAR療法前後の光学顕微鏡レベルでの組織像の比較を,またその内,2例とコントロール1例では,BAR療法前後に電子顕微鏡学的検索を施行し,その形態学的変化に若干の知見を得たので文献的考察を加えて報告する(Table1).
Therapeutic effect of BAR therapy for glioblastoma multiforme was studied by morphological approach. The alteration in5cases of glioblastoma multiforme was examined with both light and electron microscopy while BAR therapy was being conducted or after the therapy had been completed.
Resulls of light microscopy are:
1) Poor staining of the cytoplasm of tumor cells with eosin.
2) An increase of gemistocytic astrocytes.
3) An increase of reactive vascular proliferation, which is prominent along the border of tumor and normal tissue.
4) A decrease of nuclear pleomorphism.
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