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Ⅰ.はじめに
WHO grade Ⅱ神経膠腫(World Health Organization grade Ⅱ glioma)に分類されるびまん性星細胞腫(diffuse astrocytoma:DA)・乏突起膠腫(oligodendroglioma:OL)・乏突起星細胞腫(oligoastrocytoma:OA)は,WHO grade Ⅲの退形成性星細胞腫(anaplastic astrocytoma:AA)やgrade Ⅳの膠芽腫(glioblastoma:GBM)に比べると,生存期間が長いため,“良性の”神経膠腫と説明されることがある.しかし,脳腫瘍全国集計調査報告Vol.12(1984-2000)12)によると,DAおよびOLの5年生存率は68.3%・87.8%である.全国がん(成人病)センター協議会(全がん協)による共同調査によると,全がん協加盟施設の部位別の全症例(ステージⅠ~Ⅳの集計)の5年生存率は,乳がん(87.3%),結腸がん(74.6%),胃がん(71.8%),肺がん(37.8%),膵臓がん(7.8%)であり74),DAは未だ予後不良の悪性腫瘍(がん)であることが実感される.WHO grade Ⅱ神経膠腫は長い時間をかけてgrade Ⅲ,grade Ⅳ神経膠腫へ悪性転化(malignant transformation)し,患者を死にいたらしめる“悪性腫瘍”である.低悪性度神経膠腫(low grade glioma:LGG)という言葉が用いられるときには,grade Ⅱのみならずgrade Ⅰの毛様細胞性星細胞腫も含まれていることがあるので,古い臨床試験の成績の解釈においては注意が必要である.本稿では,WHO grade Ⅱ神経膠腫についてのエビデンスとその治療について述べる.
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