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Ⅰ.経験症例
1.症例
40歳女性,軽度頭痛の精査目的で施行したMRIにて第三脳室内腫瘍を指摘され,当科に紹介された.MRIで,第三脳室前半部に境界明瞭で均一に造影されるほぼ球形の腫瘤 (体積2.3cm3)を認めた(Fig. 1).視機能・下垂体機能とも正常で,高次機能障害も認めなかった.無症候であったことから,半年ごとにMRIで経過を追っていたところ,5年後に腫瘍体積は3.5倍(8.1cm3)となった(Fig. 2).後方視的に腫瘍体積を計測すると,腫瘍の増大速度はほぼ一定だった(Fig. 3).摘出術前の2年間で体重は16kg増加し,公務員としての勤務は継続可能であったが,短期記憶障害が顕著となってきていた.症状出現および腫瘍増大の経過から摘出術を行う方針とした.
CTでは石灰化を伴わず,軽度高吸収域を呈し(Fig. 4A),proton MR spectroscopy(1H-MRS)ではコリン(choline:Cho)の高いピークとN-アセチルアスパラギン酸(N-acetyl aspartate:NAA)およびクレアチン(creatine phosphate:Cre)ピークの低下を認めた(Fig. 4D).見かけ上拡散係数最低値(minimum apparent diffusion coefficient:mADC)は0.623×10-3mm2/secと低値であった(Fig. 4C).2-[18F]fluoro-2-deoxyglucose positron-emission tomography(FDG-PET)では,SUVmax(maximum standardized uptake value)8.4と比較的高値を示した(Fig. 4B).
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