症例検討会 骨・軟部腫瘍20例
〔症例3〕左股関節痛(Chordoid tumor)
恒吉 正澄
1
,
篠原 典夫
2
1九州大学第二病理
2国立福岡中央病院整形外科
pp.485-488
発行日 1980年5月25日
Published Date 1980/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408908600
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患者:57歳,男.
臨床経過:昭和52年11月,誘因なしに左股関節痛を生じる.昭利53年11月,疼痛が強くなり,整形外科医にて椎間板ヘルニアとして治療をうける.昭和53年8月中旬,殿部腫瘤に気づく.昭和53年9月,他医にて胃病変を指摘され,9月20日,当科を初診する.入院時,左殿部に成人頭大の硬い腫瘤をふれる.皮膚とは癒着はなく,骨との間に可動性はない.検査成績は著変なく,既往疾患もない.単純レ線では左側の坐骨が完全に消失している.血管造影ではhypervascularityとencasementが目立ち,悪性腫瘍が考えられる.試切後,同年10月26日,臼蓋部以下を切断した.腫瘍は坐骨より発生し,直腸,膀胱と強く癒着していた.腫瘍は13×11×11cmで,割面は灰白色で,著明な粘液状を呈していた.昭和54年4月,右腋窩リンパ節,その後胸壁,腹壁皮下に転移を来たしたが,その他の臓器には著変を認めない.
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