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Ⅰ.はじめに
頭蓋咽頭腫は下垂体柄から発生し,さまざまな伸展形式をとる. トルコ鞍内に伸展すると下垂体,下垂体柄を圧迫する. 上前方に伸展すると視交叉,視神経を圧迫し,しばしば強く癒着する.上後方に伸展すると第三脳室内に入り込み,視床下部に癒着する.あるいは,側方や後方にも伸展する.また,内頚動脈,前大脳動脈,中大脳動脈,脳底動脈およびその各穿通枝などを巻き込み,癒着する.これらの伸展形態,および設定するゴールにより戦略を検討するが,特に小児では基本的に全摘出を目指すべきである.
Approachとしては伸展形式に合わせてpterional,subfrontal,interhemispheric,orbitozygomatic,petrosalなどを選択することができる.われわれが用いている両側前頭開頭によるbifrontal basal interhemispheric approachは,術野が広くいろいろな伸展形態に対応が可能で,最も確実に全摘出を目指すことができる術式と考えている7).また,近年では経鼻的内視鏡下摘出術が発展している.わが国ではKitanoらが顕微鏡下拡大蝶形骨洞手術による頭蓋咽頭腫摘出を報告しており5),内視鏡下拡大蝶形骨洞手術が発達した現在,鞍上部に進展した腫瘍も経鼻的に摘出されるようになった.今後さらに適応が拡大すると考えられる1,2).
本稿では,頭蓋咽頭腫を中心とした鞍上部腫瘍に対するapproachとして,代表的なbifrontal basal interhemispheric approachとextended endonasal endoscopic approachを解剖学的視点から考察し,手術手技について述べる.解剖を熟知すればおのずと必要な手術操作を行うことができる.
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