Japanese
English
解剖を中心とした脳神経手術手技
鞍隔膜下頭蓋咽頭腫に対する経鼻的腫瘍摘出術
Transnasal Tumor Exploration in Infradiaphragmatic Craniopharyngiomas
阿部 琢巳
1
Takumi ABE
1
1昭和大学医学部脳神経外科
1Department of Neurosurgery,Showa University School of Medicine
キーワード:
craniopharyngioma
,
infradiaphragmatic tumor
,
transnasal surgery
Keyword:
craniopharyngioma
,
infradiaphragmatic tumor
,
transnasal surgery
pp.1093-1108
発行日 2006年11月1日
Published Date 2006/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436100301
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Ⅰ.は じ め に
鞍隔膜下頭蓋咽頭腫とは,聞き慣れない“言い回し”であるかもしれない.Fig. 1にトルコ鞍内およびその周辺の微小解剖を示す.鞍隔膜下頭蓋咽頭腫とは,鞍隔膜の下方の扁平上皮細胞群 (squamous cell nest)より発生し,腫瘍の主座がトルコ鞍内に存在している頭蓋咽頭腫のことである.逆にトルコ鞍の拡大を伴うような頭蓋咽頭腫は,鞍内から発生し鞍隔膜下に存在しているのが普通である1,33).このようなトルコ鞍の拡大を伴うような鞍隔膜下頭蓋咽頭腫は下垂体腺腫同様,経鼻的-経蝶形骨洞的腫瘍摘出術のよい適応である2,7,10,11,13,15,27-30,32-34,36,39).Fig. 2に小林らによる腫瘍の存在部位別の頭蓋咽頭腫の分類を示す 24).この分類に従うと,頭蓋咽頭腫の約70%は,鞍上部から鞍内部にかけて存在し(TypeⅠ),鞍上部に限局するものは約20%(TypeⅢorⅣ),鞍内部に限局するものは約10%に過ぎない(Type Ⅱ)35).ここでは,この分類におけるTypeⅡおよびトルコ鞍の拡大を伴う一部のTypeⅠ頭蓋咽頭腫に対する経鼻的腫瘍摘出術に関して概説する.
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