書評
『神経文字学』読み書きの神経科学―岩田 誠,河村 満●編
下條 信輔
1
1カリフォルニア工科大・認知神経科学
pp.51
発行日 2010年1月10日
Published Date 2010/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436101091
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この本の帯には「時空を超えたヒトと文字の神秘」とある.惹句にしてもいかにも大げさな,と評者は最初思ったが,本書の中身に触れた今は「まったく同感」としか思わない.ヒトの脳と,文字という文化の間には,実にそれだけの豊かな内容が広がっているのである.
この本は,文字にかかわる神経心理学と神経科学の知見を,各テーマごとにトップの専門家を擁して編んだアンソロジーである.初学者にとって最適な入門書であるとともに,専門家や隣接分野の研究者にとっても最新のデータをいち早く参照できるハンドブックとして有用である.神経文字学という新しい分野を打ち出す上で,教科書としての決定版をめざした節もある.
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