Japanese
English
特集 脳疾患に対する定位的放射線治療の進歩
聴神経腫瘍に対するガンマナイフ治療—そのあゆみと現状
Gamma Knife Radiosurgery for Acoustic Neurinoma: History and Present Situation
城倉 英史
1
,
吉本 高志
1
Hidefumi Jokura
1
,
Takashi Yoshimoto
1
1東北大学医学部脳神経外科
1Department of Neurosurgery, Tohoku University School of Medicine
キーワード:
radiosurgery
,
gamma knife
,
acoustic neurinoma
Keyword:
radiosurgery
,
gamma knife
,
acoustic neurinoma
pp.103-111
発行日 1996年2月1日
Published Date 1996/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406900900
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はじめに
聴神経腫瘍は原発性脳腫瘍の約9%を占め良性腫瘍を代表する疾患である。40歳台から50歳台に発症のピークをもち女性にやや多いことが特徴である35)。発生は年間人口10万人あたり1名程度27,36),上または下前庭神経,10%程度は蝸牛神経から発生する。多くはsporadicな一側性腫瘍であり悪性例は極めて稀である32)。約4-5%は遺伝子の異常を伴うneurofibroma—tosis type II(NF-II)の1症状として両側性に発生する。難聴,耳鳴,めまい,平衡機能障害などで発症し,腫瘍の増大に伴い近接する顔面神経,三叉神経といった脳神経症状を起こす。さらに増大すればmasseffectによる小脳,脳幹症状を呈する。また,腫瘍は髄液中の蛋白質濃度を上昇させることにより交通性の,また巨大な腫瘍では中脳水道,第4脳室の直接の圧迫による非交通性水頭症を伴うことがある。古典的には腫瘍がある程度に成長し,上記のような症状を呈した後診断に至ったわけであるが,画像診断とくにMRIの発達普及は偶然に,あるいは症状がごく軽微なうちに発見される小腫瘍の数を飛躍的に増大させている。剖検例の報告ではばらつきはあるものの発見される腫瘍の数は発症数よりはるかに多く18),かなりの腫瘍が無症状のまま長期間存在することが想像される。
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