扉
医療現場の荒廃を愁う
山下 純宏
1
Junkoh YAMASHITA
1
1金沢大学大学院医学系研究科脳機能制御学
pp.105-106
発行日 2005年2月1日
Published Date 2005/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436100028
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わが国は「低医療費政策」で「長寿世界一」を成し遂げたので,日本の医療制度は優れていると,国際社会では評価されているらしい.対GDP比の6~7%しか使わずになぜこれが成し遂げられたのか? それは昭和30年代に導入された,「国民皆保険制度」と政府がそれ以来一貫してとり続けてきた「低医療費政策」により,医師と医療従事者は忍耐と犠牲を強いられてきたからに他ならない1).
国立大学が法人化すれば,自主性を持ち,各大学の自由度は大幅に拡大されると宣伝されていたが,平成16年春から,いざ法人化してみると,文部科学省からの規制はますます強くなり,「社会に対するアカウンタビリティ」と「学長のリーダーシップ」の名のもとに,大学が文部科学省の好きな方向へ勝手に引っ張って行かれているように感じられる.法人化後,国は引き続き運営費交付金を出すけれども,大学の経費は,専任教員の人件費以外は毎年1%ずつ減らされる.また,平成17年度からは,病院収入を毎年2%増やすよう義務づけ,達成できなければ運営費交付金が削られるという.
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