Japanese
English
特集 第24回脳のシンポジウム
レセプターとその周辺
低分子量G蛋白質とシナプス機能
Small molecular weight GTP-binding proteins and synaptic function.
金 成有
1
,
溝口 明
2
,
菊池 章
1
,
高井 義美
1
Shigekuni KIM
1
,
Akira MIZOGUCHI
2
,
Akira Kikuchi
1
,
Yoshimi TAKAI
1
1神戸大学医学部第一生化学教室
2神戸大学医学部第二解剖学教室
1Departments of Biochemistry, Kobe University School of Medicine
2Departments of Anatomy, Kobe University School of Medicine
pp.940-947
発行日 1989年12月10日
Published Date 1989/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431906347
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
I.はじめに
神経伝達物質の放出や作用機構には,Cキナーゼ,Aキナーゼ,カルシウムなどの細胞内情報伝達物質が深く関与している。ある一群の神経伝達物質がそのレセプターに作用すると,アデニル酸シクラーゼが活性化されてc-AMPが産生される。また別の一群の神経伝達物質がそのレセプターに作用すると,イノシトールリン脂質がフォスフォリパーゼCによって加水分解されて,ジグリセリド(DG)とイノシトール-1,4,5-三リン酸(IP3)が産生される。DGはCキナーゼの活性化の引き金を引き,IP3は小胞体に作用して小胞体中のカルシウムを細胞質へ動員させる。
レセプターとアデニル酸シクラーゼとの共役には,GsやGiなどのGTP結合蛋白質(G蛋白質)がトランスデューサーとして働いている1〜3)。レセプターとフォスフォリパーゼCとの共役にもG蛋白質が関与していることが示唆されているが4),このG蛋白質の実体は現在なお不明である。またCキナーゼやカルシウムは神経伝達物質の放出過程や内・外分泌反応に関与しており,これらの細胞内情報伝達物質の下流にも,ある種のG蛋白質が関与していることが示されているが5),この場合もこれらのG蛋白質の実体は不明である。
Copyright © 1989, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.