検査データを考える
尿中低分子蛋白
伊藤 喜久
1
1旭川医科大学臨床検査医学講座
pp.263-267
発行日 2003年3月1日
Published Date 2003/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543101357
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低分子蛋白とは
低分子蛋白(low molecular weight protein)は通常尿中に存在し,分子量が5万以下,あるいは6万7,000(アルブミンの分子量)未満で,血清由来の蛋白を指す.これはβ2-ミクログロブリン(β2-m)を発見したスウェーデンのBergga°rdらの定義による1).
低分子蛋白が発見された当初はすべて血清由来と考えられていたが,精漿,浸潤細胞由来など局所で産生され尿中に混入あるいは血中から尿中へ直接移行する低分子の成分が多く存在しており,本来の定義づけが極めて曖昧なものとなっている.したがって,現段階では腎尿細管に関連して生理,病的状態で尿中に排泄増加する分子量1~5万の血清由来の蛋白質群と定義づけるのが妥当であると筆者は考えている.
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