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I.はじめに
神経系は生物固有の機能をもっている。その機能は,部分的には工学的に類似性の高いシステムとして模倣することができるが,今のところまったく異なる原理によっている。生物固有の機能が工学的に模倣しえない最大の理由は,生物は遺伝子という自己増殖が可能で,自己と同一のコピーを次々につくり,しかも進化によって外界とすっかり適応してきた遺伝子が,その構造形成に関与しているからである。現代の生物に実現しているような複雑で,何より合目的的によくできたシステムを,あらかじめ予定して設計されたわけではない。数10億年の進化の過程で積み重ねられた選択によって,偶然に出来上がったものにすぎない。したがって,ある目的をもってつくられたコンピューターの設計図とはまったく異なるものといえる。
生物固有の現象を研究するには,神経系の場合に限らず,発生の仕組みにしても,免疫系の仕組みにしても,また遺伝現象自身の仕組みにしても,まず,どれほどの遺伝子が,それらの現象に直接関与しているかを知る必要があることになる。
Recent advances in biotechnology made it possible to manipulate mouse genomes. Especially, the transgenic method became a useful tool to dissect a complicated biological phenomenon.
This paper descirbed how transgenic mice are useful and will be valuable, explaining following issues.
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