Japanese
English
特集 神経疾患と分子遺伝学
「神経分子遺伝学」序説
Prospect of molecular neurogenctics.
塚田 裕三
1
Yasuzo TSUKADA
1
1慶応義塾大学
1Keio University
pp.531-534
発行日 1989年8月10日
Published Date 1989/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431906306
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分子生物学の発展にともない,神経系の発生,分化,機能発現に遺伝子の関与が実証され,分子神経生物学と呼ばれる新しい研究領域が急速な進展をみせている。
今まで神経化学的研究で明らかにされてきた神経系特異タンパクの遺伝子クローニングが次々と行なわれ,これらの遺伝子の神経系での発現の調節機構の研究は,目下の焦点となっている。さらに形態形成遺伝子(ホメナティック遺伝子)1)の転写産物が神経系の初期発生期に見出されることなど,遺伝子発現調節を通じて,神経系の発生と分化についての研究が飛躍的に進展する可能性があり,神経機能の解明に大きな突破口を提供するものと考えられる。最近になりホメオ遺伝子の一つHox−1.4のtransgenicマウスがつくられ,中枢神経でmRNAの発現は多いが形態形成に大きな変化がないことが報告されている。ただ大腸では肥大化がみられたという14)。
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