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I.はじめに
神経系は外界の情報を受け取り,それを伝え,さらにそれらの情報を処理する高度な働きをしている。これらの働きは主に神経組織を構成している神経細胞(ニューロン)によって行なわれている。しかし大脳においては性質の異なった多種類の細胞に分類されており,いまだ機能の不明な細胞も多く,その研究は困難をきわめている。さて小脳は大脳と異なり,構成する神経細胞の種類は5種類と限られており,しかも電気生理学的にも細胞相互の連絡もかなり詳細に明らかとなってきている10)。形態学的にもよく調べられ,細胞の同定も容易である43)。大脳の神経細胞は大部分が出生前に分裂を終るのに対し,小脳では出生後に分裂がみられるため1),培養も容易でin vitroでの発育を調べることもできる35,37)。さらに小脳の仕事が非常に容易になったのは,変異部位が明らかにされている小脳変性症マウスの発見によるところが多いと考えられる51)。
近年,突然変異により見出された遺伝性の脳障害動物は数多く報告されており,現在では80種以上にものぼる53)。とくに,小脳に関しては,プルキンエ細胞,顆粒細胞のみ欠損しているもの,あるいはある種の細胞間のシナプスのみ欠損しているもの,さらには層構造の逆転しているものなど,その表現形式は多岐にわたっている。これらの突然変異マウスは小脳の低形成を伴なっていることが多く,しかも行動に異常を伴なうことが多い。
Abstract
The cerebellum offers a useful model in which to study synaptogenesis in the central nervous system. The anatomy of the cerebellum is rela-tively well understood in both the adult and the developing young rat. Unitary activity of single neurons can be recorded by electrophysiological techniques, and much is known of cerebellar circuitry. Several genetic mutations in mice arc known to affect cerebellar structure at well-defin-ed neuronal or synaptic loci. Weaver mutation is characterized by the degeneration of granule cells in the several postnatal days.
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