Japanese
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特集 神経組織のレセプター
序にかえて—神経組織のレセプター
Introductory remark
塚田 裕三
1
,
植村 慶一
2
Yasuzo TSUKADA
1
,
Keiichi UEMURA
2
1慶応義塾大学医学部生理学教室
2埼玉医科大学生理学教室
1Department of Physiology,School of Medicine,Keio University
2Department of Physiology, Saitama Medical School
pp.1085-1086
発行日 1978年10月10日
Published Date 1978/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431904996
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外部環境の物理的,化学的条件の変化に対応して,生体は活動を調節し,内部環境の維持に努める。この生体内の2つの調節系—神経系と内分泌系では,レセプターが重要な役割を果している。
レセプターという言葉は,生理学では感覚受容器,薬理学では薬物受容体などに古くから用いられて来た。とくに薬物受容体については,今世紀の初めLangleyは骨格筋に対するニコチンとクラーレの作用を研究してreceptive substanceの存在を想定していた。その後,生理化学的研究の進歩に伴って,受容器官から受容細胞,受容物質さらに受容部位といった分子レベルへと研究が進み,細胞膜上あるいは細胞質内に存在するレセプター分子を分離する試みがされるようになり,レセプターは操作的概念から実体的な存在となった。現在ではレセプターとは物質によって伝えられる生体内情報を識別して,結合・反応し,次の生体情報に変換したり,細胞内の代謝反応に変化を与えたりするものであることが次々に実証されてきている。
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