Japanese
English
綜説
脳の老化,痴呆とドリコール代謝
Metabolism of dolichol in the brains of elderly and dementia.
榊原 洋一
1
Yoichi SAKAKIHARA
1
1東京大学医学部小児科学
1Department of Pediatrics, Faculty of Medicine, University of Tokyo
pp.694-701
発行日 1987年8月10日
Published Date 1987/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431905920
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生物の老化のメカニズムを明らかにすることは,遺伝子やがんの研究とならんで現代の生物学,医学の最大のテーマのひとつであろう。疾病の克服による人類の老齢化現象の著しい現在,脳の老化とそれに伴う脳機能低下—痴呆のメカニズムを究明することは,医学生物学のみならず社会的な面からも強く要請されている。脳の老化については,分子生物学,形態学,生化学,生理学などの立場から数多くの研究が行なわれているが,いずれも老化という巨大なプロセスのごく一端を「群盲が象をなでる」ごとくみているにすぎないのかもしれない。しかし小さな事実を集積することが,この老化という現象の解明の第一歩となることも事実である。本稿で紹介する老化,痴呆とドリコールの関係も,老化という巨大なプロセスの限られた一側面をみたものかもしれないが,老化を理解する上での参考になると思われる。前半でまずドリコールについて概説し,次いで脳の老化,痴呆とドリコールとの関係について述べてみたい。
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