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I.はじめに
MRI(magnetic resonance imaging,磁気共鳴映像法)が医学に応用されるようになってから約6年の年月を経ているわけであるが,わが国においても昭和57年6月に東芝中央病院で国内1号機の稼動が開始されて1)4年を経ようとしている。MRIは従来の画像診断法にはみられない数多くの特徴,すなわち電離放射線を使用しないこと,任意の断層像が容易に得られること,軟部組織のコントラスト分解能が高いことなどの特徴を備えているため注目を集めている。しかし開発当初に最も問題とされたのは,すでに臨床的に高い評価を受けてその応用が開始されていたX線CT(X-ray computed tomography)と比較して画質の点で劣っていたことであった。その後,MRIのハードウェアおよびソフトウェアの両方面における開発あるいは改良によって画質の著しい向上が可能となり,今日ではX線CTとほぼ同等の空間分解能を有する装置も出現している。この間における開発の中で最も大きいのは,人体を入れることのできる超電導磁石の開発であろう。超電導磁石を使用することによって,静磁場の均一性の向上や高い磁場強度での装置の稼動が可能となった2,3)。そのため体内のプロトン(水素原子核)から得られる信号が増大し,結果的に高い信号雑音比(SNR)が得られるようになった。これは画像作成上,高分解能撮像をより容易にするものである。すなわち拡大撮像や薄いスライス厚での撮像を行なうことによって単位ボクセル当りに含まれるプロトンの数が減少しても,高いSNRによって画質の劣化がそれほど大きくならないためである(図1)。
本稿では脳を中心としたMRIの画像作成の進歩について,chemical shift imaging,3次元フーリエ変換法によるvolume imaging,造影剤の理論と応用の3項目を設定し,それらの現状について述べていくことにする。
Although MRI (magnetic resonance imaging) is a new diagnostic modality that has been used clinically in the last several years, its clinical utility is now valued highly especially in diagnosingCNS disorders. The range of clinical application of MRI has been further extended, because remarkable progress has been made in imaging technique such as chemical shift imaging and three-demensional Fourier transformation. In addition Gd-DTPA as an intravascular contrast agent in MRI was developed and its clinical applications to CNS disorders, abdominal tumors, and myocardial infarctions were reported.
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