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はじめに
脳は他臓器と比べて形態的,機能的にも複雑多岐な臓器であり,その構成細胞にもニューロンとグリアの区別があるうえ,局所的な細胞構成の差が大きく異なっていることは,大脳と小脳を比較してもよく理解できるところである。このように,広範囲な細胞の異質性と種々の細胞の微細な相違によって成り立っている脳を一括して遺伝情報発現の制御機構を論じようとするのが現状では無理なことなのかもしれない。それでも近年,脳の特異蛋白に対するメッセンジャーRNA(mRNA)の同定(Cleveland et al,19787))やDNA-mRNAハイブリダイゼーション(hybridization)技法を用いた解析(Kaplan,198222)),さらに特異蛋白の翻訳に関与するmRNAに相補的な塩基配列を持つcDNAを用いた組換えDNA技法の導入(高木,198231);Maniatis et al,198223);重定,198230))などにより,遺伝情報発現と機能との関連が明らかになってきている。
本文では,最初に脳の遺伝情報伝達について,最近の動向を展望し,次いでここ数年われわれ(Yamagami etal,1979〜198426,34〜40))が行なってきた先天性痙攣素因を持つE1マウスについての特殊な情報伝達機構を取り上げる。
Many eukaryotic genomes contain repetitive and nonrepetitive nucleotide sequences. Recent results obtained by DNA and RNA hybridization have shown that nonrepetitive sequence (also called unique) DNA is mainly associated with transcriptional process. The proportion of the genome transcribed in various organs of mammalian was estimated by saturation hybridization using unique sequences of DNA with excessRNA.
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