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特集 第20回脳のシンポジウム
視覚の中枢神経機構
シマリスの視覚中枢経路に関する解剖学的研究(抄録)
Anatomical organization of the visual system in the eastern chipmunk.
川村 祥介
1
Syosuke KAWAMURA
1
1熊本大学医学部第一解剖学教室
11st Department of Anatomy, Kumamoto University Medical School
pp.978
発行日 1985年12月10日
Published Date 1985/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431905751
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- Abstract 文献概要
視覚の中枢経路は網膜—外側膝状体背側核(LGNd)—視覚領皮質という古典的視覚路の他に,LGNd以外の第一次視覚中枢からも,視床後部の核を介して視覚情報を皮質の広い領域に送ることが知られ,後者を一括して"非膝状体系"と呼んでいる。これら視覚系の複数の上行路の意味を解釈する上で重要な事実を列挙すると,①新皮質には複数の視覚領(視野再現性を基準として)が存在する,②網膜には数種の神経節細胞が存在していて,それらが異なった投射様式を持っている。③非膝状体系と膝状体系とが各レベルで交錯している,などを挙げることができる。視覚機能全体を理解するには,これらの事項を念頭に置いて動物間の差を検討することがまず必要である。ここでは,非膝状体系の構造の一つである上丘の分化が著明であるシマリスでみられる視覚系の特徴を他の動物とくにネコのそれと対比しながら,視覚系の多重性について考察した。
シマリス視覚系の特徴の要点を膝状体系と非膝状体系に分けて記すと次のように要約することができる。
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