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特集 大脳連合野
連合野の線維結合(Ⅱ)皮質下結合—視覚連合野を中心に
Subcortical connections of the visual association cortex
川村 祥介
1
Syosuke KAWAMURA
1
1熊本大学医学部第一解剖学教室
11st Department of Anatomy, Kumamoto University Medical School
pp.1102-1115
発行日 1977年12月10日
Published Date 1977/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431904811
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はじめに
連合皮質に伴う問題の一つはそれの皮質における範囲とそれを規定する方法であろう。構築学的には髄鞘形成時期の差によるFlechsigの規定以来多くの研究がなされているが,細胞構築上は無顆粒皮質からなる運動領皮質と顆粒皮質からなる感覚領皮質を除いた正常層形成皮質(eulaminate cortex)が一般に連合領皮質とされている。しかしながら構築学的方法による規定は動物種によって異なり,またその境界領域は常に不明確である。さらに連合皮質という言葉からは皮質における特定の場を示すという意味だけでなく,高位の総合的機能を営む場という機能的意味が含まれるのが常である。このことは一方で古典的誘発電位法で得られた末梢受容器の皮質における再現部を感覚領とし,その解剖学的基礎として視床特殊核から線維を受ける領野を除いた部位を連合領と規定する考えが生じたゆえんと考えられる。また他方連合領はこれらいわゆる"第一次感覚領"からの連合線維を受け,皮質間結合によって次第に末梢からの情報の階層を上げることによって高位の機能が営まれるようになるという考えも生じるわけであるが,近年の解剖学的,生理学的,さらに剥離実験による行動学的観察は,必ずしも上記の考えに支持を与えるものでなく,このような連鎖的結合に加うるに下位からの連合領への直接の(皮質を経ない)情報がその部の高位の機能を果たす上で重要な役割をになっていることが示唆されている。
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