特集 うつ病の臨床
第63回日本精神神経学会総会シンポジウム
指定討論 うつ病とカテコールアミン代謝
高橋 良
1
1東京医歯大神経科
pp.994-997
発行日 1966年12月15日
Published Date 1966/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405201121
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最近もつとも有望視されている1)うつ病のカテコールアミン(CA)仮説に立つて行ないつつある研究の一部を予報的な意味で発表してみたいと思う。第1表はCA仮説の根拠の一部をなす薬理学的事実をまとめたもの(最近発表されたSchildkraut2)とBunney3)のべつべつの綜説からまとめてみたもの)であるがresHpineによるうつ病の誘発,モノアミンオキシダーゼ阻害剤(MAOI)とimipramineのそれぞれの機序によるノルアドレナリン(NA)の増強作用が有力な根拠とされている。これをシナップスの図で示したのが第1図である。NAはニューロン内の顆粒から遊出すると細胞内ではミトコンドリアのモノアミンオキシダーゼの(MAO)によりデハイドロオキシマンデル酸(DHM)になりさらにカテコール-0-メチルトランスフェラーゼ(COMT)によりワニールマンデル酸(VMA)になるが,細胞外に出たNAはDostsynapticのreceptor siteに行きこれを興奮させる。しかし一部はreuptakeされることにより不活性化され一部は細胞外のCOMTにより,ノルメタネフリン(NMN)になる。MAO阻害剤はNAの遊離活性型を増やすことにより,イミプラミン・タイプの薬剤は細胞外NAの細胞内へのreuptakeによる不活性化を阻止することにより結果的にreceptor siteに行くNAを増やしノイロンを刺激してうつ状態を改善すると想像されている。
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