Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
I.はじめに
神経伝達物質などある種の脳内成分は,神経系の構造と関連した局在を示すことが知られている。これらの物質の生物学的応答という機能的側面を理解するために,従来は電気生理学的手法が応用されてきた。たとえば抗てんかん薬の薬物効果は,イオントフォレーゼなどの方法により,ある脳内部位に注入された薬物の電気生理学的応答により判定されてきた。しかしこれは生体内反応の総和を見るため,条件が複雑で解析が困難な場合も多い。そこで分離細胞,シナプスなどの細胞内成分,酵素系などを用いたin vitro反応系を生化学的手法で検討することが重要な手段となり,薬物の作用機序を分子レベルで解明することも可能となってきた。
その一つとして近年進歩したレセプターの面から楽物作用を検討することが行なわれるようになった。まず放射性のアゴニストまたはアンタゴニストを与え,オートラジオグラフィーにより脳内結合部位を知ることもできるが,この方法では非特異的な吸着部分を除いた特異的結合を定量的に求めることが困難である。そこでこの特異的結合部位を生体から取り出し,レセプターとして定量を行ない,さらにその生化学的性質を研究することが薬物の作用機序を知るために有用である。本稿では最近始められた抗てんかん薬レセプターの研究をまとめた。この面からの研究はまだ未熟であるが将来の抗てんかん薬の作用機序の研究に資することを期待できる分野である。
Abstract
In 1970s, receptors, which had existed as a concept since the beginning of this century, revealed themselves as being not merely a useful concept but as biochemical and pharmacological entities in the research fields of neurotransmitters and hormones. Since approximate estimates of brain concentrations of antiepileptic drugs (AED) can be formed by monitoring the blood levels of these drugs, our attention must now be focused on pharmacodynamic study which involves the examination of drug effects in the brain through the interaction of these drugs with their receptors.
Copyright © 1983, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.