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I.はじめに
軸索流の生理,生化学については,すでに多くの立派な総説33)があり,本特集でも,他の著者49)により解説されているので,ここでは詳しくは述べない。軸索流は動物の種類によりやや異なり,その速度も速いものから遅いものまで連続して存在するという考え11)もあるが,一般には5種類のものがある33)と考えられ,速い軸索流は主に膜成分(滑面小胞体,細胞膜,小胞など)を輸送し,遅い軸索流は,neurofilament,neurotubules,actinなどの構成蛋白を輸送する33)と考えられている。また,神経細胞体より軸索遠位部に流れる順行性軸索流(anterogade axonal flow)のほかに軸索末端部より近位部に向かい流れる逆行性軸索流(retrograde axonal flow)も知られている。逆行性軸索流は,主に速い速度のもので,順行性軸索流により軸索の末梢部分へ運ばれ,使用された物質が再び細胞の本体のほうへ運ばれ25),軸索遠位部の情報が,細胞本体のほうに伝えられるのにも役立っている25)と考えられている。したがって,軸索流は,種々の病的状態で変化するし,また,軸索流の障害により軸索に変化をきたすだろうことは容易に推定される。本論文では,主に,末梢神経障害の機序との関連で,軸索流の異常について述べてみたい。
Abnormality in axonal transport is reviewed with respect to the peripheral nerve involvement. Various agents disturb fast and/or slow axonal flow, some of which are blocked or delayed, and some of which are accerelated (Table 1). Retrograde axonal flow is also disturbed in various states.
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