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I.緒言
パーキンソン病に対するL-DOPA療法が開始されて以来,大脳基底核におけるdopamine(DA)の生理的役割に関する研究が飛躍的に進展したことは周知である。それに対して,錐体外路系の機能を考えるうえでDAとともに重要な位置をしめるacetylcholine(Ach)の研究の進展は一見地味であったといえるかもしれない。しかしながら,DAの研究発展の側面にはAchの基礎的研究の着実な進歩が大きく頁献したことは事実である。大脳基底核の中でも,とくに黒質線条体DAニューロンの研究解析にあたっては,常にAchニューロン活動との相対的関係を考慮してDAニューロン機能の妥当性は論じられてきた。この線条体機能における両ニューロン活動の相対関係の重要性は,初めMcGeer(1961)35),ついでBarbeau(1962)2)によって提唱されたきわめて概念的な仮説であった。過去10数年間における大脳基底核のAchに関する研究の多くは,いわばこの仮説を実証するような方向性をもって展開されてきたといえる。このことが,前言に返るが,DA研究の発展を支えた要因と考えてよい。本稿では,線条体におけるAchの役割について,DAニューロン活動との相互作用を中心に過去の重要な研究知見を総括的に述べ,合わせていくつかの問題点も提起したい。
In this review article on the extrapyramidal functions, the author described the physiological roles of acetylcholine (Ach) in the striatum, mainly based on the findings obtained by the fundamental research for the last 10 years. It is generally accepted that most of the Ach neurons in the striatum are interneurons and receive a direct dopamine (DA) input by the ascending dopaminergic nigrostriatal neurons. The proposed existence of the descending cholinergic striatonigral neurons has been found to be improbable.
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