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はじめに
ハチ類は十万種以上に及ぶ種類が知られており,現在もなお記載が殖え続けている。種によって,毒の組成がかなり異なっていることが知られている1〜4)。これはハチの社会的生活,とくに食性の違いに基づくものと考えられる。たとえば花粉を集めるミツバチと,他の昆虫を餌とする肉食性のハチは,毒の成分に差があるのは目的論的に考えてもむしろ当然かもしれない。種類が多いうえに,1個の毒腺中に含まれる毒液が,きわめて微量であることが,ハチ毒研究の最大の隘路となっている。これまで毒成分の分析が進んで構造の明らかになったものは数種類にすぎない。そのうちミツバチ毒に関しては,養蜂の必要上から年間を通じて飼育できるため,何万匹ものミツバチから毒液を集めることが可能で,ハチ毒のなかでは最も早くその組成が明らかになった。これらは,melittin,apamin,MCD-peptideなどと名づけられた。このほかに構造の知られたハチ毒成分としては,キニン類があり,アシナガバチ類のPolistes annularis5)やVespula maculifrons6)から分離されている。そのほか,ヒスタミン,セロトニンなどの生体アミン類や,酵素類の存在がいくつかの種類のハチで知られているが,まだ多くの生理活性物質が不明のままである。
本稿では,この特集のテーマに従って,向神経性のハチ毒成分に焦点を絞り,国内外の研究の現状を展望してみた。
Neurotoxins in the venom of bees wasps and hornets have been reviewed. Apamin, isolated from bee venom is the smallest neurotoxic polypeptide known. It has actions of uncoordinated movements increasing to spasms and convulsions of central origin in rats. In the study of cat spinal reflex, apamine augments polysynaptic reflex and renders excitatory polysynaptic pathways more effective than inhibitory polysynaptic mechanism. Some spicies of wasps (Phylanthus triangulum, Microbracon) venom have peculiar actions to paralyse their preys or hosts. The venom block neuromuscular transmission in insects.
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