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特集 生物由来の神経毒
後シナプス膜に作用する蛇毒神経毒タンパク
Snake venom neurotoxins acting on postsynaptic membrane
田宮 信雄
1
Nobuo Tamiya
1
1東北大学理学部化学第二学科
1Department of Chemistry, Faculty of Science, Tohoku University
pp.870-876
発行日 1980年10月10日
Published Date 1980/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431905207
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ある種の蛇毒に神経毒性があることは前世紀から知られていた(たとえばBrunton & Fayer,18741))。神経毒成分を蛇毒から取り出す試みも,その時代時代の技術の進歩に応じて行なわれた。1950年代佐々木2〜4)が台湾コブラ毒から単離した標品はその毒性,化学的性質から見て本稿の主題の神経毒の一種であったに違いない。ウミヘビ毒からも神経毒成分を免疫化学的に純粋に得たとの報告がある5)。
1966年,田宮,荒井6)は日本沖縄産のエラブウミヘビLaticauda semifasciataから神経毒タンパクを結晶状に単離し,エラブトキシンのa,bと命名した。同年スエーデンのKarlsson7)らはフランスでBoquet8)らが得ていたアフリカコブラ毒の毒成分,トキシンαを精製分析した。エラブトキシンa,b,トキシンαはいずれも61〜62個のアミノ酸残基,および4個のジスルフィド結合から成る塩基性タンパクで,それらが同族のタンパクであることはアミノ酸組成から明らかであった。Yang9)がタイワンコブラから単離した神経毒タンパクも間もなく同類のものであることが示された10)。以来10余年,同族のタンパクは各種のウミヘビ,コブラから相ついで発見され,毒タンパクの中では,最も研究の進んだ大きな一群として知られるに至った。
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