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前頭連合野損傷患者は,順序,頻度の記憶,「いつ,どこで」という経験の出所に関する記憶,自分の記憶には何が貯えられているのかという「メタメモリー」,そして課題解決のために必要な情報の一時的な保持と操作という「ワーキングメモリー」に障害を示す。PET, fMRIなどの非侵襲的脳機能測定法による研究によれば,前頭連合野は長期記憶の記銘,想起やワーキングメモリーに関係して活性化を示す。意味記憶の想起とエピソード記憶の記銘には前頭連合野の左側が,エピソード記憶の想起には前頭連合野の右側がより大きく活性化する傾向にある。前頭連合野はまた,「将来のある時期にすべき内容」に関する記憶である「展望記憶」や,将来に起こると予想されるものを「期待」する過程にも関わっている。前頭連合野の記憶に果たす役割は海馬系のようにもっぱら記憶に特化したものではなく,高次な精神活動をささえる汎用性の機能が「記憶の組織化」に向けられたものと言える。
Patients with prefrontal lobe lesions do not show significant impairments in standard tests of recognition memory. However, they show deficits in free recall, word finding, temporal order memory, source memory, and metamemory. Prefrontal patients are also impaired in working memory task performance. Recent neurochemical studies indicate importance of catecholamine (especially dopamine and norepinephrine) for working memory task performance.
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