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Ⅰ.まえがき
呼吸リズムの第一義的な形成機構が脳幹の延髄網様体部に存在することがいくつかの研究から確実視されるようになったが,これは延髄網様体を遊離しても,内部の呼吸性ニューロンのリズム活動が消失しないという実験結果に基づくもので,従来重視されていた橋を含む上位中枢や肺伸張受容器からの求心性迷走路などはリズム形成に二義的な調節作用を果たしているにすぎないとされている(Hukuhara,1974;Hukuhara et al.,1966;Saji et al.,1966;Salmoiraghi & Burns,1960b)。つまり呼吸中枢は延髄網様体部に存在し,ほかから特異なリズム性入力を受けることなく独自の神経回路網により,吸・呼息相の交替するリズムを作り出しているわけである。
しかし一方では延髄以外の脳幹部に呼吸中枢を求める説も捨てられてはおらず,呼吸リズム形成機構に関して多くの仮説がある.この混乱は脳幹という特殊部位と呼吸現象に関して研究を進めるうえで多くの障害が伴うことに起因する。このことは同時に呼吸リズム形成機構を神経回路網的に説明するのに充分な情報が与えられていないことをも意味する.
The rhythm generator of the medullary respiratory center is modeled by a neural network and the results of computer simulation are compared with physiological facts. In the network six groups of respiratory neurons constitute two recurrent inhibition circuits operating as relaxation oscillators and mutual inhibition paths between the oscillators. Inspiration-expiration alternating rhythm is generated and maintained by dynamic interactions among excitatory and inhibitory neuron groups.
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