Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
序論
カルバメート系殺虫剤は,医学面に用いられるフィゾスチグミンなどから誘導されたもので,有機燐剤(Organophosphorus以下O. P. )と同様にcholinesterase(ChE)を抑制し,その殺虫効果を発揮することから農薬として用いられているが,その毒性について,詳しい研究はほとんど行なわれていない。一方O. P. については,神経系ChEに対する影響を中心とした,急性および慢性中毒の詳細な報告がすでに本邦および世界で数多くなされている(Bajgar,1972;石川ら,1973;疋田ら,1973;Miyata,1973;今井,1974;Suzuki et al.,1974;Judith,1974;武田ら,1975)。
カルバメート系殺虫剤は毒性の強いO. P. に代わるものとして1958年以来日本で盛んに使用されているが,毒性については急性中毒でVandekarら(1971)がmonomethylcarbamateをラットに投与し,ChE活性,および症状の観察を行ない,これらの回復過程がO. P. に比して速いことを報告している。亜急性神経毒性についてはChEを中心とする生化学的,神経学的検索が若干なされていて,Desi(1974)は1-naphthyl-N-methyl-carbamate(Sevin®)を用いてラットに10〜20mg/kg/dayを50日間投与し,亜急性毒性実験を行なっている。
A delayed neurotoxicity of ChE inhibitors, such as organophosphorus or carbamyl esters has not been well analyzed both in animal and human being. This report was attempted to find out an involvement in the nervous tissues by using a widelyused carbamyl ester pesticide, Sevin® (1-naphthyl-N-methylcarbamate) on Wister rats.
Copyright © 1977, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.