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はじめに
進行性の小脳症状を呈する疾患の一つとしてKufs型(成人型)lipidosisは念頭におくべき疾患の一つである。本症は一応思春期以後に発症し,数年あるいは数10年の慢性の経過をとるlipid沈着症であるが,なかには子供の頃から発症しきわめて長い経過をとって成人にまで至るものもある7〜9)。近年神経化学の発達により,neuronallipidosisにおける酵素欠損あるいは沈着物質の性質が次第に明確にされつつあり,gangliosideの沈着するinfantile型(Tay-Sachs病)とlipofuscin様顆粒の沈着する本症とは本質的に異なった疾患であることが明らかにされ,その分類も従来の発症年齢,経過などからする分類より沈着物質ならびにその背後にある欠損酵素の種類によって分類される傾向がある13,19)。しかし,沈着するlipidの性質がどのようなものであるにしろ成人にまで至る慢性のlipidosisではしばしば小脳症状が目立ち5,12,15,16,20),他の小脳変性症との鑑別が問題となる。
以下発症は10歳前後であるがきわめて慢性の経過をとり,成人(37歳)に至って死亡した1剖検例を中心として本症について検討を試みた。
An autopsy case (37-year-old male) of neuronal lipidosis with long lasting course of 30 years was reported. In the course of his illness, mental deterioration, ataxic gait, incoordination, intention tremor and involuntary movement of chorea-athetotic type were observed. Neither myoclonus nor epileptic seizure was noticed. Pathologically numerous nerve cells in the cerebral cortex showed balloonings with intracytoplasmic deposition of the lipid granules.
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