Japanese
English
特集 筋無力症
周期性四肢麻痺の発生機序に関する考察
On the mechanism of muscular failure in periodic paralysis
大塚 正徳
1
Masanori Otsuka
1
1東京医科歯科大学医学部薬理学教室
1Department of Pharmacology, Faculty of Medicine, Tokyo Medical and Dental University
pp.459-462
発行日 1970年11月30日
Published Date 1970/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431904637
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はじめに
1958年Offerijnsら1)はカリウム欠乏食で飼育したラットの横隔膜の収縮がインスリンの添加によつて著しく抑制されることを報告した。Offerijnsらの研究の目的は糖尿病の患者でインスリン投与の際に起きる筋麻痺を解明することにあつたが,われわれは彼らの報告した実験的筋麻痺が次のような点で低カリウム血性周期性四肢麻痺の患者に起る筋麻痺と共通していることに着目した。第1にどちらの場合にも細胞外液中のK濃度〔K〕0の低下ならびにインスリンが筋麻痺を惹き起すための重要な因子となつている。第2に直接刺激に対しても間接刺激に対しても筋収縮が抑制されていることから考えて,筋麻痺の原因が筋線維自身の欠陥にあることが推定される。第3にいずれの場合にも筋収縮は〔K〕0の上昇によつて回復する。
このようにOfferijnsらの観察した実験的筋麻痺と人間の周期性四肢麻痺とが類似していることから,われわれは前者について筋麻痺の機構を明らかにすることによつて,後者の病態生理をうかがう上のヒントが得られるものと考えた。
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